知人の話から見る国際ECの裏側
関税は本来「買い手が払うもの」なのに…
知人が語った”違和感”
ある日、ECサイトを運営している知人が、
ぽつりとこんなことを話しました。
「関税って、買い手が払うもんじゃないの？
なんで、こっちが払ってるんだろう…」
実は今、アメリカ向けに商品を販売している多くの海外販売者が、
この「逆転現象」に頭を抱えています。
購入者が支払うべき関税を、なぜか販売者側が事前に負担しているのです。
関税の仕組みと現実のギャップ
関税とは本来どういうものか？
関税とは、商品が国境を越えるときにかかる「輸入税」です。
通常は、商品を受け取る側＝購入者が支払うのが基本ルール。
たとえば日本でも、
海外通販で商品を買うと、
配達時に「関税○○円」と請求されるケースがあります。
なぜ今、販売者が払っているのか？
最近では、アメリカの一部ECプラットフォームを中心に、
販売者が関税を「前払い」する流れが急増しています。
その理由は：
- 購入者のクレームを減らすため
- 追加料金なしの“親切設計”を目指しているため
- プラットフォーム側の仕様変更によるもの
これにより、売り手は実質的に負担増となっているのです。
背後にある「トランプ関税」の影響
保護主義がもたらしたもの
この不自然な制度の背景には、
元大統領トランプ氏による保護主義的な関税政策があります。
アメリカ国内の産業と雇用を守るため、
中国・EUなどとの輸入品に対して高関税を課す方針を打ち出しました。
その影響で、アメリカ市場で商品を販売するには、
関税コストを「上乗せ」してでも売る必要が出てきたのです。
ある知人のつぶやき
知人もこう言っていました。
「アメリカ発のサイトって、
どこか“トランプ寄り”な空気を感じるよね」
ルールが”アメリカ中心”に設計されているように感じる――
これは決して一人だけの感想ではないでしょう。
国ごとの反応の違い
日本人は「従う」ことを選ぶ
日本人販売者の多くは、
「そういうルールなら仕方ない」と受け入れる傾向があります。
真面目でルールに従いやすい国民性が影響しているのかもしれません。
知人も、いくつかの負担には
「しょうがないよね」と納得している様子でした。
ヨーロッパ・中国は「怒り」を見せる
一方で、ヨーロッパや中国の一部販売者たちは違います。
「なぜアメリカの関税までこちらが払うのか？」
「不公平すぎる」
という声が広がり、
一部ではアメリカ市場から撤退する動きも見られています。
販売者が減ることで、誰が困るのか？
選択肢が減る＝消費者の損失
販売者が減ると、
取り扱われる商品の数も、種類も減っていきます。
その結果として：
- 商品価格の上昇
- 品質のばらつき
- 特定国の商品に依存
という事態が起こりやすくなります。
つまり、一番損をするのはアメリカの消費者とも言えるのです。
自由貿易の危機と今後の課題
保護主義のツケは誰が払うのか？
一国主義・保護主義が強まることで、
自由で公平な国際取引の場が失われつつあります。
本来、ECとは「国境を越えた自由な商売」の場。
それが一方的なルールで縛られていくのは、健全とは言えません。
「もう売るのやめようかな…」
と知人がつぶやいた時、
その言葉がとても重く感じられました。
見直すべきは制度そのもの
今、必要なのは、
誰かが一方的に損をするような制度ではなく、
公平で持続可能な貿易の仕組みです。
関税は本来「国益を守るための手段」ですが、
そのせいで現場の商売人が疲弊するのなら、
本末転倒ではないでしょうか。
まとめ：本当に守られるべきは誰なのか？
グローバルに活躍するEC販売者たちの声は、
普段あまり表に出ることはありません。
でも、制度のゆがみが続けば、
真面目な販売者ほどやめてしまい、
最終的には消費者も損をする構図になります。
アメリカのための関税が、
実はアメリカの未来を狭めている――
そんな矛盾が、今まさに起こっているのかもしれません。
補足（あとがき）
この記事は、あるEC販売者の知人との会話をもとに構成しました。
実際に現場で起きている問題を、
少しでも多くの人に知ってもらいたいという思いから書いています。
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